2015年3月中旬。広報室と記者クラブとのやり取りを集中的に撮影するため、佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、金井勇太の広報室員たちと、瑛太、坂口健太郎を中心とする記者クラブの面々が新潟入りした。撮影が始まる前日の決起集会で、共演する若手俳優たちを前に佐藤浩市は“全力でぶつかって来い。俺が全部受け止めてやる”と宣戦布告とも受け取れる言葉を投げかけた。瑛太は“その言葉を頂戴して、気合が入りました”と語っている。佐藤の言葉に応えるように、現場では常に緊張感のある演技バトルが展開した。例えば警察の匿名発表に抗議するため、記者たちが大挙して本部長室へ向かう場面では、それを止めようとする広報室員たちと廊下でもみ合いになる。止めようとした佐藤浩市を振り切る瑛太の動きは、先輩俳優に対しても掴んだ腕の振りほどき方が乱暴で容赦ない。これに対して佐藤は瑛太を引き留めるポジションを最初よりも手前にして、さらに三上の切迫感を出そうとする。佐藤と五分にわたり合おうとする瑛太のエネルギーと、そのシーンの見せ方を考えてアイデアを出していく佐藤。監督の演出だけではない、俳優たちの熱がこもった演技の作り込みがそこにはあった。
広報室の面々は常に佐藤と演技で渡り合うため、さらに演技が繊細だ。佐藤演じる三上が記者クラブに対して実名発表に踏み切ると宣言し、綾野剛演じる諏訪がそれを止める場面。最初は三上が実名発表に踏み切るのは勝手だが、それによって困るのは三上が異動した後に残る自分たちだ。どうせ三上の広報室勤務は一時的だろうと、諏訪は彼をなじる。これに対して捜査一課にはもう戻れないと三上が言って、彼の本気の覚悟を感じた諏訪は、必死に止める懇願へと変わる。自分のことを考えた怒りから、三上の今後を心配して自分たちが土下座してでも実名発表を止めさせようとする、諏訪の急激な心情の変化と必死さを、綾野は5行に渡るセリフを一気に言うことで表現した。ほとんど息継ぎなしで長ゼリフを言いきらなくてはいけないため、綾野は途中で咳き込む場面もあったが、本番でOKが出た。これに続く榮倉奈々、金井勇太の受け答えも見事に気持ちがこもっていて、広報室のチーム全体の気迫が感じられた。